かゆい疾患

アトピー性皮膚炎


アトピー性皮膚炎とはひじやひざの内側や、顔、首などに慢性的な治りにくい湿疹がみられる病気です。
皮膚は全体に乾燥し、ダニやカビ、花粉などに対するアレルギー反応がみられることが多い疾患です。

アトピーは治らないの?

アトピー性皮膚炎はなおりにくい病気ではありますが、決して一生続く病気であるというわけではありません。
アトピーの体質を改善させるためには塗り薬などを使って湿疹がよくなっている状態を維持することが必要です。その結果、皮膚の中に浸透するダニなどの成分が減るために、次第にアレルギー体質が改善してきます。適切な治療を継続して 行うことによって湿疹をよい状態に長期間維持することが遠回りのように見えても一番の近道などです。

アトピーは遺伝するの?

アトピー性皮膚炎や喘息、花粉症といったアレルギー性の体質はある程度遺伝する可能性があります。血のつながった人の中にこれらの病気を持つ人がいる場合はアトピー性皮膚炎にかかる可能性はある程度高くなることが予想されます。
またアトピー性皮膚炎の方の約3割はフィラグリンという皮膚の保湿に関連する物質の遺伝子に変化がみられ、皮膚が乾燥しやすい傾向があることがわかっています。このような方では特に日常から保湿を心がけ皮膚に傷化できるのを防止することによってダニなどの成分が皮膚の中に浸透するのを防ぎ本格的なアレルギーになることを予防することが大切です。

ステロイド外用剤は怖い薬なの?

ステロイドの軟膏を使うと皮膚が黒くなる、アトピー性皮膚炎が治らなくなるといったことがいまだに信じられる傾向があり、一時期脱ステロイド療法がもてはやされた時代もありませした。
しかしそのため湿疹がひどく悪化した状態で医療機関を受診する方が頻発し、白内障や網膜剥離などといった大きな合併症も多発しました。


現在ではそれらの反省にたち、適切な治療法が確立しています。
それが「標準治療」と呼ばれるもので、いわゆるグローバルスタンダードとなる治療の手順を症状に応じて決めたもので、このように治療すればうまくいくと言う治療のレールのようなものです。

症状が悪化した時はステロイドなどを適切に使用しますが、改善した時には徐々にその使用量を減らし、保湿の外用に移行していくという手順で治療が進みます。

外用のほかに治療法はあるの?

外用剤に加えて内服による治療もしばしば併用します。もっとも一般的なのは抗アレルギー剤の内服ですが、シクロスポリン という免疫抑制剤もアトピー性皮膚炎の症状がひどい方には使用することができます。

非常に有効な薬剤ですが、血圧が上昇するなどの副作用が起きる場合もありますのでそれらに留意しながら使用する必要があります。
また紫外線治療も有効で、特にナローバンドUVBという紫外線の副作用をより少なく、効果を高く得られる光線治療も可能で、保険適応になっています。


尋常性乾癬

尋常性乾癬とは?

頭皮や手、足などに丸い形をした赤い斑点が増えてくる皮膚の疾患です。原因はまだ不明ですが、遺伝的な背景に生活習慣なども加わって発症するものと考えられています。慢性的な皮膚疾患の一種であり、簡単には治りませんがいろいろな治療を行うことによって発疹を減らしていくことはできます。

治療法はどのようなものがあるの?

治療法はどのようなものがあるの?通常はステロイド軟膏の外用やビタミンD3軟膏の外用に効果があります。ステロイドの軟膏は即効性があるものの長期に使用すると皮膚が薄くなってくる副作用があります。そのため効果が表れるのが遅いものの副作用が少ないビタミンD3軟膏と一緒に使います。

そのほか内服治療薬としてチガソンとシクロスポリンがあります。チガソンは皮膚の代謝を調節する薬で、副作用としては唇があれることなどがあります。シクロスポリンは炎症を抑制する薬剤ですが、腎機能が下がるケースがあります。
いずれも副作用に留意する必要のある薬剤ですので、外用ではコントロールがうまくいかない場合に使っています。

紫外線治療も有効と聞きましたが・・

尋常性乾癬には以前から紫外線治療が有効であることが知られています。中でもここ数年ナローバンドUVBといって発疹を減らす効果は高く、しかも副作用が少ない波長の紫外線のみを照射する治療が行われるようになりました。
保険診療で行うことができ、照射にかかる費用は1000円程度(3割負担の場合)です。

当院では治りにくい部分に焦点を当てるターゲット型と広い範囲にあてることができる全身型の両方の機器を保有しております。

生物学的製剤と言う薬剤も効くと聞きましたが・・

数年来急速に広まってきた治療法で、体内の炎症を起こす特定の物質のみを除去する注射による治療です。
極めて高い効果ありますが、感染症を起こしやすくなる副作用があるために基本的には大きな病院でしか使用することはできませんし、すべての患者さんに治療の適応があるわけではありません。
当院では必要のある患者さんにはこの治療を行うことができる施設をご紹介いています。


じんましん


蕁麻疹は大小様々な蚊に刺されたような膨隆疹(ブツブツ)や紅斑(赤み)が出現し、強い痒みを伴う症状のことを言います。このような症状は数時間たつと消えてしまいますが、またその周囲やほかの部分に新しく発疹が出現してきます。

発症してから1か月以内のものは急性じんましんと呼び比較的治りやすいものですが、1か月以上経過したものは慢性じんましんと呼び、じんましんが出る癖が定着してしまっている状態で数か月以上の治療が必要になります。

じんましんの原因は?

じんましんというと食べ物のアレルギーと思われる方も多いのではないでしょうか。そのようなケースもありますが実際には比較的まれで、風邪を引いた後、疲れがたまった時など体調のバランスが崩れたとき出てくるケースが最も多いようです。
そのほか冷たいものに触れると出てくる寒冷じんましん、小麦や甲殻類を食べた後に運動すると出てくる食物依存性運動誘発性アナフィラキシーなどの種類があります。

治療はどうするの?

じんましんの原因は?治療となります.抗アレルギー剤は沢山種類がありますが、効果、副作用などそれぞれに特徴があり、病気の状態や副作用の出やすさなどを考えた上で決めていきます。
食物などのアレルギーから起きていると考えられる場合は検査をした上で除去していただく場合もあります。